
名古屋を拠点に、育児の傍ら漫画を描き続けるお二人。実は“ご近所”という不思議なめぐり合わせが生んだ、リアルで温かな創作トークを全4回にわたってお届けします。
―お二人はとても仲が良いと伺っていますが、出会いのきっかけはなんだったのでしょうか?
ねむようこ 初めてお会いしたのは、ちょうど2年前。お互いの担当編集さんが引き合わせてくれた会で、ご挨拶させていただいたのが最初でした。名古屋でお会いしたんですが、話しているうちに「家がめちゃくちゃ近い!」ということが判明して(笑)。なんとよく行くスタバまで同じだったんです。
蒼井まもる そうなんですよ。そもそも私はねむさんの……いわゆるネットストーカーみたいな存在でして(笑)。本当に10年以上前、高校生の頃からずっとねむさんの作品を読んできました。それこそ今では“ねむさん”と呼ばせていただいていますが、私の中ではずっと“ねむようこ”という絶対的な存在なんです。だから担当編集さんから「ねむさんと会ってみませんか?」と言われた時は、「ね、ねむようこ!?」と一瞬固まりました。
―筋金入りのねむようこファンである蒼井先生ですが、初めて読んだ作品はなんでしたか?
蒼井 『午前3時の無法地帯』(祥伝社)です。そこから遡ってデビュー作も読みました。ねむさんがきっかけで「FEEL YOUNG」(祥伝社)を読むようになったんです。それから、『君に会えたら何て言おう』(祥伝社)を読んだときに、ちょうど自分と同じ時期に出産を経験されていたと知って。とても親近感が湧いて、当時は一人で盛り上がっていました。
ねむ そうそう! 出産の時期もすごく近くて、誕生日も近くて、しかも子どもの誕生日まで近いんです。さらに血液型まで一緒だったりして、共通点が本当に多いんですよね。
蒼井 一周違いですが、干支も一緒だったり。
ねむ 実は、初めて蒼井さんと会ったとき「絶対に離さない!」と思ったんです(笑)。まず、蒼井さんの『あの子の子ども』(講談社)を読んだ時、とても衝撃を受けたんですよ。作品に対する真摯な姿勢がひしひしと伝わってきて、本当に「すごい」としか言いようがなくて。それに加えて、やっぱり家が近い……! 私はこれまでご近所の漫画家仲間がいなかったので、こんなに近い距離にいて、漫画を描いていて、しかも子どもが同い年!?って。
―それは、絶対に離さない! ってなりますね(笑)。普段お会いする時は、どんなお話をされるんですか?
ねむ 私が普段あまり漫画を読まないので、蒼井さんに面白い漫画を教えてもらったり、それを読んで感想を言い合ったりしています。あとは、子どもを連れて行くのにおすすめの場所とか、そういうこともよく話しますね。
蒼井 私はよく相談に乗っていただいています。「今こういうことで悩んでいて……」と、作家としてのキャリアの話をすると、「あったあった、そういう時期」って寄り添ってくれて。本当にありがたいなと思います。
――特に印象に残っているアドバイスはありますか?
蒼井 実は、去年すごく落ち込んでいた時期があったんです。もちろん、いろんな人に支えてもらってはいたんですけど、それでも本当にしんどい時期で。そのとき何気なく「最近こんなことがあって」と、ねむさんに話したら、次の日「今ちょっと家の近く通るから、寄っていい!?」って連絡をくださって。その後、本当に家まで来てくれて、しかもわらび餅をくれたんです! あれは本当に嬉しかった。
ねむ よかった〜。怖がられていたらどうしようかと(笑)。
蒼井 いえいえ、すごく支えになりました。
ねむ あのときは本当に心配でした。周りにもきっと支えてくれる人はいるだろうけど、そういうのって「誰かが消防車を呼んでいるだろうなと思ってたら、意外と誰も呼んでなかった」みたいなこともあるじゃないですか? だから、行けるなら行こう、近いし!って。それに、さっきも言った通り「離さないぞ!」って思ってますからね。
蒼井 本当に近いですよね。うちの娘がねむさんの家の前を通るたびに「ここ、ねむさん家だね」って言うんですが、最近はちょっと釘を刺していています。「ねむさんは簡単に会える人じゃないんだよ!」って(笑)。
取材日:2025年9月17日
インタビュー・構成:ちゃんめい
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2004年『FEEL YOUNG』に掲載された『ナイトフルーツ』にてデビュー。初連載作『午前3時の無法地帯』がヒットし、2013年に実写ドラマ化。2023年には『こっち向いてよ向井くん』がTVドラマ化。ほか代表作に『トラップホール』、『とりあえず地球が滅びる前に』、『神客万来!』など多数。
「OUR FEEL」にて『たぶんここから始める恋』連載中。
https://x.com/nemuyoko
『別冊フレンド』(講談社)にてデビュー。主な著作は『あの子の子ども』『恋のはじまり』『さくらと先生』(以上すべて講談社)ほか。『あの子の子ども』は第47回講談社漫画賞・少女部門を受賞、2024年のアイズナー賞 ティーン向けベスト出版の最終ノミネート作品となった。
「OUR FEEL」にて『ふつうの女の子』連載中。
