作家さんやゲストの方々、編集部員がわたしの「すきなもの」について語るリレー連載。
多くの人々がなにかに熱中することが、身近な光景になったこの頃。
「すきなもの」も、それに対する気持ちも十人十色。
それを語り、共有することでわたしたちの気持ちが見えてくるかも?
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自身4作目のオリジナル長編作品『僕らの好きはわりきれない』の連載を終えたばかりの、大人気少女漫画家・野切耀子先生がOUR FEELに初登場!
今回は野切先生の漫画家としてのルーツから、最近アツいという「VTuber」について、思う存分に語っていただきました。

編集:連載お疲れ様でした!
これまで少女漫画家として数々の作品を生み出されてきた野切先生ですが、そもそも漫画家になろうと思ったきっかけがあれば教えてください。
野切耀子:幼いころから絵を描くのが好きだったので、その延長で漫画家になってみたいと思い始めたのは高校生のころだった気がします。
一番最初に漫画を描いたのは18歳くらいの時です。
『LaLaDX[ララデラックス]』や『花とゆめ』の増刊号によく読切りが載っていて、それを読みながら、読切りの描き方を学びました。
つまめる程度の知識を蓄えて、16ページ分描いて、白泉社の『LaLa』に投稿してみようと。一度投稿してみたら賞に入ったんですよ。
それが自信になって、もうちょっとやってみようと何度か投稿していたら、担当がつきました。
編集:なぜ少女漫画誌を選びましたか?
野切耀子:最初は『りぼん』を買っていて、中学生くらいの時に『りぼん』から『LaLa』に変わって。
ずっと少女漫画で育ったので、自然とそのルートが浮かびました。
少年漫画も青年漫画も読んでいましたが、自分で買ってた雑誌が少女漫画だったのもあって、そのまま少女漫画を選びました。
編集:幼いころや学生時代に好きだった作品はありますか?
野切耀子:小学生のころからジブリや『カードキャプターさくら』などのファンタジー要素のある作品が好きでした。
アニメですが『おジャ魔女どれみ』のような変身して魔法を使う作品にも憧れがあり、少女の夢を感じていました。
『LaLa』もファンタジー作品が多かったので、初連載は狼が出てくるようなファンタジーを描きました。
読切り時代に2~3本はファンタジー作品を描いたかな。
編集:漫画家になってから影響を受けたものや作品はありますか?
野切耀子:今は『宇宙兄弟』とか『ヴィンランド・サガ』など、青年誌系の漫画が好きで。自分の作品とは全く違う方向性の作品を楽しく読みます。
『宇宙兄弟』は漫画の教科書みたいだと個人的に思っています。
話が面白いのはもちろんのことですが、毎話キーとなる言葉があって、終わりに回収してくる巧みさがすごいなあと。話の構成の勉強になります。
編集:ご自身の作品を描くときに意識していることはありますか?
野切耀子:付き合うまでの話を読みたいし描きたいけど、最近の流行としては付き合ってからのイチャイチャを描いた作品の方が多い気がします。
とくに少女漫画やBL漫画を読む人がエンタメに求めるものは困難よりも幸せなんじゃないかと感じていて。
なので、ずっとストレスをかけ続ける状態にはしないでおこうということは意識しています。
つらいまま引っ張らない。ストレスをちゃんと解消させてあげられるようにしたい。
コミックスの引きはなるべくネガティブなものでは引かないでおこうみたいな。
驚きとか「この人たちどうなっちゃうの」というようなエピソードにするよう心掛けています。
編集:少女漫画の対象読者を意識して行っていることはありますか?
また、その読者をきゅんとさせるための工夫などありますでしょうか?
野切耀子:自分自身の世代から読者の世代は、年々離れていく一方なので、今時の学生の感覚に合っているのかということは、実際のところわかりません。
ただファッションの方向性などは合わせようと思っています。
靴下の丈とかスカートの丈とか。制服の着方は時代によって全然変わってくるので気をつけています。
男の子の方は正直お手上げ状態です。すごく難しい。正解を教えて欲しいぐらい(笑)。
そういった服装や流行はSNSで学ぶことが多いです。インスタとか。
あとドラマは今を切り取ってくれるので、参考にしています。
地域設定やキャラクターによっては今時すぎる方向に合わせてもちょっと違うのかなと思ったりもしています。
そういったところは意識して、情報収集を行っているかもしれないです。
また、高校生の方がやれることが限られるじゃないですか。
大学生になるといろんなことができてしまう分、大人と近しいというか、お酒も飲めちゃうしお泊まりも簡単に行けちゃう。
私の場合はなんでもできてしまうより、制限があった方がドラマは作りやすいのかもしれないと感じてます。
編集:今後挑戦したいテーマや描きたい作品イメージがあれば教えてください。
野切耀子:デビュー後は現代ものが多かったので、またファンタジー要素を含む話を描いてみたいと思っています。昔からファンタジーで育っていたので。
あとはBLとか。
編集:漫画の執筆以外で大事にしていることや意識して行っていること、息抜きや趣味などはありますか?
野切耀子:趣味はドラマや映画鑑賞です。
作業中はネームをしているとき以外は、だいたい何か映像作品を流しています。
ドラマ、映画、VTuberの動画を流すことが多いです。
ネーム中は音楽を流しています。たまに作品にハマる楽曲が見つかると、感情移入ができるので同じ楽曲をヘビロテすることが多いです。
『デザート』10月号で最終話を迎えた『僕らの好きはわりきれない』は、片思いがテーマというか、本音をひた隠すキャラクター達の話だったので、back numberさんの曲をたくさん聴いていました。
back numberさんの曲って、失恋の曲や振られたほうに寄り添うものが多い気がして。
結局自分の想いを見送る側だったりする歌詞が多いイメージなんですよね。
それが今回の作品にちょうど合っていて、よく聴いていました。
編集:今回野切先生に語っていただくのは『にじさんじ』※
ハマったきっかけがあれば教えてください。
※にじさんじ…ANYCOLOR株式会社が運営するVTuber/バーチャルライバーグループ。
野切耀子:Xで動物の赤ちゃんとかポメラニアンとか柴犬とかをひたすら検索して、Xのおすすめ欄を浄化していた時がありまして。
その流れでルンルンさん(にじさんじ所属のVTuber)がXのオススメで流れてきました。動物の赤ちゃんカテゴリなのかな(笑)。
「おや、可愛いのがいるぞ」と思ってYouTubeに飛んでみたら、まんまとハマってしまいました。
ルンルンさんは2024年の6月にデビューしたVTuberなんですが、ルンルンさんがデビューしてすぐくらいに知ったので、私自身VTuberというコンテンツに触れてからの歴は浅いです。
ルンルンさんをきっかけに『にじさんじ』というVTuberの事務所を知って、同じ事務所内の別のライバーさんとコラボをするルンルンさんを観ているうちに、自然と事務所の他のライバーさんも知っていきました。
『にじさんじ』だけでも、ライバーさんは100人以上いるんです。
事務所内でゲームの大会を開くことが多いので、ルンルンさん目当てで観ているうちに、この人も面白い、見てみようとなっていって、気づいたら沼に沈んでいました。
ハマった当時『グランド・セフト・オート』というゲームを『にじさんじ』所属のライバーさん達でプレイする『にじGTA』という企画中でした。
『グランド・セフト・オート』というゲームは、警察とか救急隊とか犯罪者など役割に分かれて自由に街の中で遊べるといったゲームで、それぞれのライバーさんがいろんな役職に就いてわちゃわちゃ遊んでいるのが面白くて、いろんな視点を追うようになり、勝手に『にじさんじ』のライバーさんに詳しくなっていきました。
追う視点によって全く違ったエンタメが見られるのでオススメです。
編集:推しのライバーの好きなところや好きな動画について教えてください!
野切耀子:剣持刀也さん。
2期メンバーで、雑談配信がすっごく面白くて語彙が豊富です。よくそんな言い回し思いつくなって思うような頭の回転の速さと、べしゃりの止まらなさが癖になります。本当に博識な方だなーと思います。
卯月コウさんも面白いです。
雑談の切り抜きがよく流れてきます。原稿作業をしながら流していると、耳でしか聞けないので、雑談配信が多い人はよく観るかもしれないです。
イブラヒムさんも好きでよく見ています。
『タラオアンチ卯月コウと仮想ディベートをするタラオ弁護人イブラヒム』という動画は、前提から意味がわからなくて最高でした。
レジェンドですが、月ノ美兎さんの企画動画も好きです。
カチカチ山の歴史を辿るという動画があるんですが、すごく勉強されていてわかりやすくまとめてあり面白かったです。月ノ美兎さんに触れたのはそれが一番最初だったかも。
最近だと『わらしべ長者対決』というのを剣持さんと2人でやっていて、それぞれ『にじさんじ』の中で物を交換していったら最後何になるかといった企画なんですが、予想もつかない展開になっていって面白かったです。
『にじGTA』をリアルタイムで見ていたころは、知っているライバーさんが少ない状態だったので、個々の活躍を楽しむという視点でしか観れていなかったのですが、今改めて数々のライバーさんを知った状態で見ると、それぞれの関係性や個人の新たな魅力を再発見できるので、さらに楽しいです。
でも、やっぱり一番の推しはルンルンさんですかね。とてもとても可愛い。
特に好きなのが『砂テトリス』というゲームをやってる時で。テトリスのブロックを砂にしたみたいなゲームなんですけど。
ゲームに気を取られている状態で脊髄反射で喋っているので、意味のない言葉をめちゃめちゃ話してるんです(笑)。
考えて話してる時の語彙の多さもいいんですけど、何も考えてないであろう言葉もキャラクターの個性がでるので面白いです。可愛いんだけど知的好奇心が旺盛でそのギャップも良いですね。
あとルンルンさんは食べ物の話ばっかりしてます(笑)。食いしん坊です。そこがめちゃくちゃ可愛いんですが、たまに哲学的なことも言ったりして、興味の幅が広いんだなと感じます。
ルンルンさんで一番(?)有名なのが、『8番のりば』というホラーゲームをプレイする動画。
『8番出口』のシステムと近いゲームなんですが、それをルンルンさんが泣きながらやってるんです。キュートアグレッションを知りました(笑)。
かなり怖がって泣いたりしているくせに、操作がしっかりしてるから普通にクリアできちゃうんですよ。そのギャップがまた面白くて可愛い。
いじめたいわけではないけど、ルンルンさんのコロコロ変わる反応を観て楽しんで、元気をもらっています。

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北海道出身。
2008年『熱源は此処』でデビュー。代表作に『甘くない彼らの日常は。』(全7巻)、『私のオオカミくん』、(全4巻)『蓮住荘のさんかく』(全3巻)など。最新作『僕らの好きはわりきれない』の最終7巻が好評発売中!
▼X(旧Twitter)@nogiRE