作家さんやゲストの方々、編集部員がわたしの「すきなもの」について語るリレー連載
𓊆 OUR FAVORITE THINGS 𓊇 が始まりました!
多くの人々がなにかに熱中することが、身近な光景になったこの頃。
「すきなもの」も、それに対する気持ちも十人十色。
それを語り、共有することでわたしたちの気持ちが見えてくるかも?
バナーデザイン:惣田紗希

初回は編集部員のNがすきなもの【映画】について語ります!
昔からわたしにとって物語はなくてはならないものでした。
現実から逃避させてくれる拠り所で、
それがなかったらわたしの人生は全く違うものになっていたのではないかと思います。
しかし「逃避」と言っているようにそれはさまざまなことから目を逸らすことでした。
昔より現実に向き合えるようになったいま、自分にとって物語は、
それを通して現実を見つめなおすことができるフィルターのようなものになったと思います。
見方はすこし変わりましたが、昔も今もわたしにとってかけがえのないもので、
そういう意味では、マンガと映画(もちろんその他媒体も)は共通していると思っています!
OUR FEELはマンガをお届けするサイトですが、
映画にも“どんな気持ちも、わたしだけのもの。”という
OUR FEELの理念に通ずる作品がたくさんあります。
OUR FAVORITE THINGSでは
毎月第1木曜日に編集部員Nによる映画紹介を行っていく予定ですので、
OUR FEEL読者のみなさまの心にも響くような作品をご紹介していけたら幸いです!
※第3木曜日には、作家さんやほか編集部員によるコラムを不定期掲載予定です。
今回は2025年上半期の映画を中心にご紹介します✰⋆⁺
『ウィキッド ふたりの魔女』

魔法と幻想の国オズにある<シズ大学>で出会ったふたり― 誰よりも優しく聡明でありながら家族や周囲から疎まれ孤独なエルファバと、誰よりも愛され特別であることを望むみんなの人気者グリンダは、大学の寮で偶然ルームメイトに。見た目も性格も、そして魔法の才能もまるで異なるふたりは反発し合うが、互いの本当の姿を知っていくにつれかけがえのない友情を築いていく。
ある日、誰もが憧れる偉大なオズの魔法使いに特別な力を見出されたエルファバは、グリンダとともに彼が司るエメラルドシティへ旅立ち、そこでオズに隠され続けていた“ある秘密”を知る。それは、世界を、そしてふたりの運命を永遠に変えてしまうものだった…。
「わたしたちなら何だって出来る」
立ち向かう力をもらえるエンパワメントムービー
1995年に発売された原作小説を元にミュージカル化され、
以降全世界で愛されてきた『ウィキッド』の待望の映画化作品である本作は、
童話『オズの魔法使い』で邪悪なものとして描かれた悪い魔女(ウィキッド)が、
いかにして“悪”となったのかを描きながら、善とは、悪とはを問う物語です。
のちに“善い魔女”と呼ばれるグリンダと、“悪い魔女”と呼ばれるエルファバは、
大学で出会い、最初は正反対な性格ゆえに反発しますが、
ルームメイトになったことをきっかけに、次第にかけがえのない親友になります。
オズの国は動物と人間が共存する世界、動物たちも言葉を話し仕事を持っています。
しかし近年動物たちは虐げられ、権利を奪われはじめていました。
その様子を何も言わずに見過ごす人々、しかし聡明で心優しいエルファバは、
動物たちに寄り添い、排除の流れに立ち向かおうとします。
『オズの魔法使い』とは違う視点から語られる物語によって、
善や悪というものは表裏一体で、見るものによって全く異なることがわかるのです。
わたしが心打たれたのは、排除の流れに逆らい立ち上がるエルファバの姿。
そして、考え方は違いながらも彼女に寄り添い、力になろうとするグリンダ。
同じ人間はひとりとしていない。
けれどわたしたちは寄り添い、力を合わせることが出来る。
現実世界でも、自分と違うとみなした者を排除しようとする動きをみて、
絶望を感じてしまう瞬間があります。
しかしこの物語は、私にとってそんな現実に立ち向かう心の支えになっています。
キャッチーなミュージカルナンバー(すべて生歌歌唱!)に心躍るのはもちろん、
あなたの心を支え、鼓舞してくれるような作品です。

4K UHD + ブルーレイ セット: 7,590 円 (税込)
ブルーレイ + DVD セット: 5,390 円(税込)
発売・販売元: 株式会社ハピネット・メディアマーケティング
© 2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
※記事公開時の情報です。
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『ミッキー17』

主人公は、人生失敗だらけの男“ミッキー” 。
一発逆転のために申し込んだのは何度でも生まれ変われる“夢の仕事”のはずが……。
よく読まずにサインした契約書は、過酷な任務で命を落としては何度も生き返る、まさにどん底の“死にゲー”への入口だった!
現代からひとつの進化も無く、労働が搾取される近未来の社会。
だが使い捨てワーカー・ミッキーの前にある日、手違いで自分のコピーが同時に現れ、事態は一変ーー
予想を超えたミッキーの反撃がはじまる!
負け犬の逆襲を描く痛快エンタメ!
その過程で描かれる自分を尊重することの意義。
『パラサイト 半地下の家族』をはじめ、さまざまな権力構造への皮肉を描いてきた
ポン・ジュノ監督による逆襲エンターテイメント。
住むに耐えなくなった地球から新たな地に赴いた植民団に所属しているミッキー。
人体プリンティングという装置で無限に生き返れるようになったミッキーの命は、
その植民団のリーダーの所有物かのように粗雑に扱われます。
これまでミッキーは誰かに従うだけで、雑に扱われることも当然のように受け入れていました。
しかし、ひょんなことから始まった逆襲や、
手違いで生まれてしまった自分の複製・ミッキー18や恋人のナーシャを通して、
自分の意志をみつけ、自分を尊重することを知っていくのです。
わたし自身、そのことを知ってから大きく変わった経験があります。
自分を尊重することは、他者を尊重することにも繋がります。
それが人体プリンティングというアイロニカルな装置を通して
ポン・ジュノ監督らしい茶目っ気たっぷりなストーリーで描かれており、
エンターテイメントとしても最高に楽しい作品になっています!
新たな地の先住生物・クリーパーとどう向き合うか、というのも本作の見所のひとつ。
クリーパーを当然のように下等生物とみなし、攻撃し、排除しようとする植民団のリーダー。
一方ミッキーたちは…?
種族が違うものにどう向き合うか、ということを通して
わたしたち人間の同士のことも改めて考えることが出来るのではないかと思います。
発売元/販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
権利元:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社
※記事公開時の情報です。
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『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』

自由奔放でエネルギッシュなジェヒと、穏やかで繊細なフンス。
正反対の二人が、ある出来事をきっかけに特別な契約を結び、一緒に暮らし始めることに!
ジェヒは奔放な恋愛を楽しみながら、世間のルールに縛られず、自分の価値観を大切にして自由に生きている。
一方、フンスはゲイであることを周囲に隠しながら、孤独と向き合う日々を送っている。
二人はお互いの違いを認め合い、次第にかけがいのない存在となっていくーー。
しかし、ジェヒが人生の大きな転機に立たされ、フンスも初めて心を許した恋人との関係に悩む中で、
二人の友情は予期せぬ形で試されることになる…。
華やかな都会の裏にある孤独、愛の多様性、そして真の友情と向き合い、
時に傷つきながらも自分らしく生きようと奮闘する姿を、
ソウルを舞台に描くハートフル・ストーリー!
「あんたらしさがなんで“弱み”なの?」
ありのままの自分を愛していいんだよ、と背中を押してくれる物語。
人目を気にせず自由に生きるジェヒと、周囲の目を気にしてゲイであることを隠しているフンス。
性格も恋愛に対する価値観も、なにもかも正反対なふたりは、
あることをきっかけに互いに心を許すようになり、一緒に暮らすことに。
簡単に周囲を気にする/気にしないと書きましたが、
家父長制が根強い韓国で(日本も負けていないですが…)クィアであることを表明することは、
想像を絶する程の困難があり、そのことは作中でも描かれます。
常に本当の自分を隠し、生きづらさを感じていたフンスでしたが、
そんな彼を救ったのはジェヒの「あんたらしさがなんで“弱み”なの?」という言葉でした。
いままで誰にも、親にさえも本当の自分を見せられなかったフンスでしたが、
その日からありのままでいることができるジェヒという居場所が出来たのです。
世の中にはマジョリティの価値観を“普通”とし、
そうではない者を異常とみなしたり、いない者としようとする傾向があります。
フンスのように、それを怖れてありのままの自分でいることが
簡単ではないひとも少なくないです。
しかし、この物語はそんなひとたちに、
あなたはひとりじゃないし、ありのままの自分を愛してあげよう、と言うのです。
わたし自身も今でこそ「ありのままに好きに生きよう!」と思って生きていますが、
この映画をみて、他人の目を気にして自分を苦しめていた昔の自分が救われたような、
そうだった自分も愛してあげたいな、という気持ちになりました。
観た後も、心のなかのジェヒとフンスがあなたに寄り添ってくれるような、
温かい気持ちがじんわり残り続ける物語です。
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あなたの心に響く作品はありましたでしょうか?
既にこの作品を鑑賞している方の中には、わたしと同じ気持ちを感じた方も、
そうでない方もいると思いますが、物語の受け取り方は人それぞれです!
あなたが感じたどんな気持ちも大切にして、この世界を生き抜いていきましょう ⸝꙳.˖
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