OUR FEEL COMICS創刊記念!! ねむようこ×蒼井まもる スペシャル対談

「OUR FEEL」の紙コミックス「OUR FEEL COMICS」創刊を記念して、1巻が絶賛発売中の『たぶんここから始まる恋』ねむようこ先生と、12月16日に『ふつうの女の子』1・2巻を同時発売する蒼井まもる先生のスペシャル対談が実現。
名古屋を拠点に、育児の傍ら漫画を描き続けるお二人。実は“ご近所”という不思議なめぐり合わせが生んだ、リアルで温かな創作トークをお届けします。

―お二人はとても仲が良いと伺っていますが、出会いのきっかけはなんだったのでしょうか?

ねむようこ 初めてお会いしたのは、ちょうど2年前。お互いの担当編集さんが引き合わせてくれた会で、ご挨拶させていただいたのが最初でした。名古屋でお会いしたんですが、話しているうちに「家がめちゃくちゃ近い!」ということが判明して(笑)。なんとよく行くスタバまで同じだったんです。

蒼井まもる そうなんですよ。そもそも私はねむさんの……いわゆるネットストーカーみたいな存在でして(笑)。本当に10年以上前、高校生の頃からずっとねむさんの作品を読んできました。それこそ今では“ねむさん”と呼ばせていただいていますが、私の中ではずっと“ねむようこ”という絶対的な存在なんです。だから担当編集さんから「ねむさんと会ってみませんか?」と言われた時は、「ね、ねむようこ!?」と一瞬固まりました。

―筋金入りのねむようこファンである蒼井先生ですが、初めて読んだ作品はなんでしたか?

蒼井 『午前3時の無法地帯』(祥伝社)です。そこから遡ってデビュー作も読みました。ねむさんがきっかけで「FEEL YOUNG」(祥伝社)を読むようになったんです。それから、『君に会えたら何て言おう』(祥伝社)を読んだときに、ちょうど自分と同じ時期に出産を経験されていたと知って。とても親近感が湧いて、当時は一人で盛り上がっていました。

ねむ そうそう! 出産の時期もすごく近くて、誕生日も近くて、しかも子どもの誕生日まで近いんです。さらに血液型まで一緒だったりして、共通点が本当に多いんですよね。

蒼井 一周違いですが、干支も一緒だったり。

ねむ 実は、初めて蒼井さんと会ったとき「絶対に離さない!」と思ったんです(笑)。まず、蒼井さんの『あの子の子ども』(講談社)を読んだ時、とても衝撃を受けたんですよ。作品に対する真摯な姿勢がひしひしと伝わってきて、本当に「すごい」としか言いようがなくて。それに加えて、やっぱり家が近い……! 私はこれまでご近所の漫画家仲間がいなかったので、こんなに近い距離にいて、漫画を描いていて、しかも子どもが同い年!?って。

―それは、絶対に離さない! ってなりますね(笑)。普段お会いする時は、どんなお話をされるんですか?

ねむ 私が普段あまり漫画を読まないので、蒼井さんに面白い漫画を教えてもらったり、それを読んで感想を言い合ったりしています。あとは、子どもを連れて行くのにおすすめの場所とか、そういうこともよく話しますね。

蒼井 私はよく相談に乗っていただいています。「今こういうことで悩んでいて……」と、作家としてのキャリアの話をすると、「あったあった、そういう時期」って寄り添ってくれて。本当にありがたいなと思います。

――特に印象に残っているアドバイスはありますか?

蒼井 実は、去年すごく落ち込んでいた時期があったんです。もちろん、いろんな人に支えてもらってはいたんですけど、それでも本当にしんどい時期で。そのとき何気なく「最近こんなことがあって」と、ねむさんに話したら、次の日「今ちょっと家の近く通るから、寄っていい!?」って連絡をくださって。その後、本当に家まで来てくれて、しかもわらび餅をくれたんです! あれは本当に嬉しかった。

ねむ よかった〜。怖がられていたらどうしようかと(笑)。

蒼井 いえいえ、すごく支えになりました。

ねむ あのときは本当に心配でした。周りにもきっと支えてくれる人はいるだろうけど、そういうのって「誰かが消防車を呼んでいるだろうなと思ってたら、意外と誰も呼んでなかった」みたいなこともあるじゃないですか? だから、行けるなら行こう、近いし!って。それに、さっきも言った通り「離さないぞ!」って思ってますからね。

蒼井 本当に近いですよね。うちの娘がねむさんの家の前を通るたびに「ここ、ねむさん家だね」って言うんですが、最近はちょっと釘を刺していています。「ねむさんは簡単に会える人じゃないんだよ!」って(笑)。

―1巻が絶賛発売中のねむようこ先生の最新作『たぶんここから始まる恋』の魅力についてお伺いしていきたいと思います。まず、ねむ先生の大ファンである蒼井先生に、ねむようこ作品の魅力についてお聞きしてもいいでしょうか?

蒼井 私が言わずとも日本の皆さんはもうご存じかと思いますが、ねむさんの作品はとにかく全部がすごいんです。毎話“偉業”みたいなことをやっているんですよ。例えば、漫画って「次はこうなるな」と展開を紐解けるものもあると思うんですけど、ねむさんの作品はそれが一切できない! 全部計算なのか、はたまた天才の所業なのか、もうそれすらもわからない!

―熱がすごい……。

蒼井 なんていうか、読んでいると“脳が喜ぶ”んですよね。ねむさんの作品って、すごくリアルで共感を呼ぶキャラクターが多いと思うのですが、同時にどこか童話のようなあたたかさもある。大人の乙女心と童心が一緒にくすぐられるような、その絶妙なバランスが本当に気持ちいいんです。特に『神客万来!』(芳文社)が大好きで、本作はまさにその象徴だと思います。でも、同時並行で『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社)を描かれていたんですよね……もう怖いです(笑)。

ねむ 『こっち向いてよ向井くん』みたいなリアルな作品と、『神客万来!』のようなファンタジーを同時に描いていたからこそ、両方描けたんだと思うんです。どちらかが行き詰まった時、もう一方が休憩場所みたいになっていて。そうやって、違う質のものを行き来しながら描くというのが、自分にはすごく合っている気がします。一つの世界だけだと飽きちゃうんですよね。

―では、蒼井先生、最新作『たぶんここから始まる恋』のご感想もお願いします!

蒼井 今までのねむようこ作品の中で一番えっちと思いました。まず、ねむようこが描く“先生”って、ヤバくないですか!?好きなシーンはたくさんあるんですが、特に「今日はお母さんじゃないんでしょ?」っていうところ。もう、これこれこれ! って思わず声が出ました(笑)。あと、私自身がシングルマザーなので、読んでいてここからどうなっちゃうんだろうってすごくドキドキしました。


『たぶんここから始まる恋』©︎ねむようこ/シュークリーム 4話より

ねむ そうなんです。こんな身近にシングルで子育てされてる方がいるのに、エンタメのスパイスとしてシングルマザーを使うような構成になってしまっていないか、とても緊張しています。傷つけるような内容になっていないか心配は尽きないのですが、シングルマザーを記号的に扱うのではなくて、奈々美ちゃんという一人の人間としっかり向き合って描いていきたいと思っています。

蒼井 ねむさんの描く物語って、どこへ向かうのか分からない。その予測不能さこそが、純粋に“強い”なと思います。そして、ねむさんの絵は動きや佇まい、そのすべてに色気があるのですが、本作は特にそれが際立っていて……。これこそ本当の“大人のラブストーリー”だなと思いました。

ねむ 難しいことは抜きにして、まずはエンタメとして浸ってほしいという気持ちで作っているので、そう言ってもらえるのは本当に嬉しいです。

―前作『こっち向いてよ向井くん』も恋愛ものでしたが、本作の連載が始まってから、心境の変化はありましたか?

ねむ 『こっち向いてよ向井くん』は、言いたいことが明確にあった作品なんです。連載当時は怒りをエネルギーにしていたというか、「あいつを殴る!」くらいの気持ちで描いていて(笑)。だからこそ、描き終えたときにものすごく疲れてしまって……。向井くんでやり切ったから、次は違うものにしようと思ったんです。それで今回は、めっちゃエンタメでやろう! と。

―めっちゃエンタメ!?

ねむ 今までリアリティをすごく大事にしてきたんですけど、今作ではもう少し自分の中から物語を生み出したいというか。どこかから物語を引っ張ってくるんじゃなくて、自分の内側にあるものをそのまま形にしたい、という気持ちが強くて。だからこそ、エンタメ性と読みやすさをすごく大事にしたいと思っています。

―なるほど。そういえば、これまでの作品は都内が舞台になっていることが多かったですが、今作では現在お住まいの名古屋が舞台ですよね。

ねむ そうです、地元です。私は田舎者だからずっと東京に憧れていて「東京のおしゃれな物語を描こう!」と意気込んでいたんですけど、ふと「もう疲れたな」と思って。東京のトレンディーなものを描くのはやめて、名古屋の物語にしました。資料写真も撮りやすいですし。

蒼井 それ、すごくわかります。あと、子どもを連れていくと、資料写真を撮りに行くのが楽なんですよね。

ねむ あぁ、わかる! ひとりだとちょっと撮りづらいよね。でも、やっぱり地域性って物語の中でけっこう重要なんですよね。例えば、東京の街の特色って正直ちゃんとはわからないから、「港区」って言われてもピンとこないし、名古屋の港区とは全然違うし……。そういう意味で、土地の特徴を知っているほうが描きやすいし、小ネタも挟みやすい。リアリティをもって描けるほうが、やっぱり楽しいし、やりやすいなと思って。だからもう、名古屋にしよう! って思って物語の舞台にしました。

―12月16日に1&2巻が発売される蒼井まもる先生の最新作『ふつうの女の子』の魅力についてお伺いしていきたいと思います。ねむ先生は本作を読まれていかがでしたか?

ねむ すごく“読者に厳しい作り方”をしているなと思いました。今回、モノローグをあまり描いてないですよね? だから、読者が自分から物語を取りにいかないといけない構造になっているなと。

蒼井 そうですね。特に初期の方は、主人公・アンの年齢的にまだ自分の思考をうまく言語化できない状態なので、あえて入れていないんです。

ねむ なるほど、そういうことなんですね。それを最初からやっちゃうのめっちゃ強気じゃん! でも好き! って思いました(笑)。というか、蒼井さんは「ちゃんと読んでくれる」って読者を信頼しているんですよね。そういう作り方ができるのは本当にすごいと思います。それに、『あの子の子ども』の頃から絵柄も変えていますよね。

蒼井 そうですね。少しコミカルというか、あっさりさせたかったんです。ソフトで言うと、ペンのブラシを変えたとか、そのくらいの違いなんですけど。あと、トーンワークも少し落ち着かせました。『あの子の子ども』のときは映画っぽさをすごく意識していたので、その雰囲気がなくなったのは大きな変化かもしれません。

ねむ モブや老若男女の描き分け、デフォルメのバランス、おしゃれな線や背景のデザイン……どれもより洗練されている。前の絵も本当に好きだったけど、今回はますます好き! しかも、テーマ自体がすごく難しいのに、よくここまで引っ張ってこれたなと思います。


『ふつうの女の子』©︎蒼井まもる/シュークリーム 5話より

―本作はどういったところから着想を得たのですか?

蒼井 実は、前作『あの子の子ども』を描いていた時に、すごくもどかしい思いをしたんです。これは少し傲慢な言い方かもしれませんが、「伝えたいように伝えられない」もどかしさがあったというか。やっぱり色々な捉え方をされる作品だったので……もちろん、それは読者の自由だし、そういう作品にも意義はあるとも思っているんですが。それでも、やっぱり自分の中でモヤモヤが大きく残ったんですよね。

―センシティブなテーマかつ、現実的な問題を真正面から描いた作品だからこその苦悩ですね。

蒼井 反応がすごくダイレクトな作品だったので、いろんな価値観の意見を一度に浴びて、自分の気持ちが揺らいでしまったこともありました。だから次は、「自分の思うように描こう」と。読者の反応を気にしすぎず、自分が面白いと思うものを届けようと思って始めたのが『ふつうの女の子』です。

それともう一つ大きなきっかけになったのは、子どもを育てる中で、自分のこれまでの人生をたびたび思い出すようになったことです。子どもの成長を見ていると、ふと「自分もあの頃、こう感じていたな」と心が過去に戻る瞬間があって。30代半ばになった今、小さな頃の感情が少しずつ回収されていくような感覚があるんです。そのたびに、生きていること自体が物語なんだと実感するようになりました。今だって、ねむさんの作品を初めて読んだ頃から、まさかこうして一緒にお話しする日が来るなんて! あれは伏線だったんだ! みたいな(笑)。そういう“人生の伏線回収”に気づいたことが、本作を描く大きなきっかけになりました。

―初めて読んだとき、まるで家族のホームビデオを見ているようだと思いました。

蒼井 正直、この作品では、特に劇的な出来事は起きません。でも、アンにとっては、本当に“何かが起きた”ということの連続なんですよね。それを一つひとつ丁寧に拾って物語にしていく部分と、すでに“物語になった部分”との両立というか。そこがすごく面白いなと思っていて。そうした積み重ねの中に、きっと多くの人が共感できる部分があるんじゃないかなと。この作品は私自身にとっても、これまでにない形での挑戦になっていると感じながら描いています。

―ねむ先生は、本作を読まれて母親という立場から共鳴した部分や、印象に残ったシーンはありましたか?

ねむ 私、本当はアンちゃんのお母さん・仁美さんみたいになりたかったんだよなと、思い出しました。母親になっても、自分のことを一番に考えて生きていく。そうやって生きていれば、それがちゃんと子どもにも伝わって自然とメッセージになる。つまり、「母親になっても、私は“私”を優先して生きていける」と思っていたけれど、実際はなかなかそうはいかなくて……。だからこそ、仁美さんみたいにそれをはっきり言い切ってくれるのは、すごく素敵だなと思うんです。一方で、おばあちゃん(仁美さんの母親)の存在も印象的でした。彼女は、仁美さんとは本当に真逆なタイプで躾のために、嫌がるアンを無理やり座らせて教えるような人。でも、その厳しさがあったからこそ、最終的にアンもちゃんとできるようになるんですよね。

蒼井 そうなんですよ! そう考えると、どっちが良い悪いなんてないんですよね。あの厳しい母親に育てられたからこそ、仁美さんは逆に奔放な母親になったとも思いますし。そして、仁美さんのような母親と、またタイプの違うおばあちゃんに育てられたアンちゃんが、これからどうなっていくのかそれはまだ誰にもわからない。物語って“作っているようで、作られている”というか……自分でも手探りで描いている感覚があります。

ねむ 本当にそうですよね。私たちだって、自分の子どもたちがこの先どうなるかなんてわからないですもんね。でも今の時点では、アンちゃんがすごく良い子で、可愛らしく育っていて。だからこそ、これからどんなふうに成長していくのかすごく気になります!

―同じ時期に出産を経験され、今では同じレーベルで連載をされているお二人ですが、昔と今で生活の変化や環境の違いなど、創作に影響を感じる瞬間はありますか?

蒼井 私は、子どもを産んでからのほうが作品を出すペースが上がりました。

ねむ え! なんで!?

蒼井 もちろん、時間自体は以前よりぐっと減ったんですよ。でも逆に、「今しかできないから、ここでやる!」っていうスイッチが常に入るようになってしまって。だから、不思議なことに、一番大変なはずの乳幼児期がいちばん生産的だったんです。むしろ、子どもが小学生になって自分の時間が増えた今のほうが、少しペースが落ちちゃって。たぶん、生活に慣れちゃったんでしょうね。

ねむ そういうのあるよね。自分を追い込んで、アドレナリンで走り抜けるタイプのやつ。私は、産前の頃は『ふつうの女の子』の仁美さんみたいに、「子ども産まれても今まで通り働ける! 19時まで預けてバリバリやるぞ!」と思っていたんです。でも実際は、想像以上に自分が子どもとの時間を欲してしまって……。それで自然と仕事の量を減らして、ページ数も減らしていきました。やっぱり、睡眠だけは絶対に削れない! 寝不足になるともうすべてがダメになる。気持ちも落ち込むし、仕事もうまくいかない。健康じゃないと何も回らないんですよね。

―仕事の量を減らしたと仰っていましたが、ねむ先生の産後復帰はかなり早かった印象です。『君に会えたら何て言おう』のあとがきを読んでそう感じました。

ねむ 取り残されるのが怖かったんです。実際、半年くらいお休みしたんですが、描かないと本当に勘が鈍るんですよね。絵を描くスピードも、漫画のテンポも、感覚が少しずつ鈍っていく。それに、私の場合「漫画を描く」ということがずっと自分の中のアイデンティティだったので、“描いていない自分”が途端に無価値に思えてしまったんです。

蒼井 その感覚、わかります。漫画家のようにアウトプットする職業だからこその葛藤ですよね。私も、産後に“何も生み出していない自分”がすごく怖かったです。長い目で見れば、子どもを産み、育てること自体がとても生産的なことなんですけど、当時は何も生み出していない日々がものすごく非生産的に感じられて、焦燥感に駆られていました。でも、あの日々がなければ『あの子の子ども』は絶対に生まれてなかった。そう思うと、今では本当にありがたい時間だったなと思います。

ねむ 当時はとにかく焦りがたくさんあったから、「早く戻らなきゃ、描かなきゃ」と思っていて……。でも、その焦りのまま詰め込んで描くというのは、やっぱりあまり良いことではなかったなと今は思います。だから今は、少しペースを落としてやっていこうと思っています。

―その苦しみの中で数々の名作を生み出してこられたにもかかわらず、「良いことではなかった」と振り返られる姿勢がとても印象的です。

ねむ 当時の私にとっては、数をたくさんこなすほうが楽だったんです。本来なら“数”よりも“面白い漫画を描くこと”に尽力すべきだった。なのに、それが難しいから、とにかく数を増やして、「私はこれだけやったから大丈夫」と安心するようなやり方をしてしまっていたんです。結果的に生活も荒れて、何も大事にできなくなってしまった。人としても、あれは本当に良くなかったなと感じています。それに、それぞれの作品に対して「もっとできたのに」と思う部分があるんです。特に作画面なのですが、数をこなすには、どうしてもこだわりを削るしかなかった。でも今思えば、絵を描きたくて始めた仕事なのに、そこを削るのは違うし良くなかったなと。

―ライフステージが変わるなかで、さまざまな葛藤を抱えながらも漫画を生み出し続けるお二人。どちらかといえば、描きたいことはたくさんあるのに、生活や体調が追いつかない……そんな悩みを感じましたが、アイデアの枯渇はないのでしょうか?

ねむ蒼井 ありますよ……(笑)。

―失礼しました(笑)。そういったときは、どのようにして乗り越えているのでしょう?

蒼井 やっぱり、降って湧いてくるものではないですよね。自分から掴みにいかないと出てこない。だから、常にアンテナを張って、人と話したり、異業種の方を紹介してもらったりして刺激をもらっています。それこそ、ねむさんは色々なジャンルに詳しくて、話していて楽しいし、勉強になるんです。やっぱり、これだけ博識だからこそあんなに重厚な漫画が描けるんだなって思います。

ねむ 私の場合は、もう乾いた雑巾を絞るような作業なんですよ! 若い頃は自然とアイデアが出てきたけど、年齢のせいか今はどんどん鈍くなっていく感覚がある。だから、人とたくさん話して、それを呼び水にしてアイデアを引き出している感じです。あと、やっぱり漫画を読まないと漫画は描けない。読んでいないと、どんどん痩せていく感じがしますね。それと、私はお気に入りのイラストや写真を眺めてイメージを膨らませると脳が元気になるのか、自然とアイデアが出てくるなと感じます。

―4回にわたり、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。最後に、改めてお互いにエールを贈るとしたら、どんな言葉をかけたいですか?

蒼井 ……大好き!

ねむ 私も大好きだよ! あの日「逃さないぞ」って思ったから届いてよかった(笑)。あと、蒼井さんは、すでにすごく頑張っていらっしゃるから「無理しないで」って思うんですけど、それでもやっぱり頑張ってほしい! まだお若いから、今がやりどきかもよ?って。

蒼井 そう、働き盛りなんです! もっと頑張りたいです。

ねむ 頑張れるのって、羨ましいことだよ。頑張ってね!

蒼井 お互い、健康第一で頑張りましょうね。私はこれからも、ねむさんの漫画をずっと読みたいので……。ねむさんが描いている限り、私も描きます。あ、今度人間ドック行きましょうね!

<完>

取材日:2025年9月17日
インタビュー・構成:ちゃんめい

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蒼井まもる

『別冊フレンド』(講談社)にてデビュー。主な著作は『あの子の子ども』『恋のはじまり』『さくらと先生』(以上すべて講談社)ほか。『あの子の子ども』は第47回講談社漫画賞・少女部門を受賞、2024年のアイズナー賞 ティーン向けベスト出版の最終ノミネート作品となった。
「OUR FEEL」にて『ふつうの女の子』連載中。

ねむようこ

2004年『FEEL YOUNG』に掲載された『ナイトフルーツ』にてデビュー。初連載作『午前3時の無法地帯』がヒットし、2013年に実写ドラマ化。2023年には『こっち向いてよ向井くん』がTVドラマ化。ほか代表作に『トラップホール』、『とりあえず地球が滅びる前に』、『神客万来!』など多数。 「OUR FEEL」にて『たぶんここから始める恋』連載中。
https://x.com/nemuyoko