宇垣美里×一穂ミチ「マンガ大好き!!!なわたしたちの最新女性マンガ最速読書会」レポート④

いよいよこの10月から紙単行本の創刊が始まったOUR FEEL COMICS。
「どんな作品があるの?」「どんなところが面白いの?」
作り手である作家や編集者も伝えたいことはたくさんありますが、読み手にとって信頼できるのは実際読んだ人の感想ですよね。
そこで、読者代表としてマンガ大好きなお二人をお迎えして、最速読書会を開催しました!
最終回の第4回では、12月刊のコミックスについてお話ししました!

※この記事では、2025年11月13日にYoutubeで公開された動画の模様を一部編集してお届けいたします。

 メンバー 

宇垣美里|フリーアナウンサー・俳優。1991年 兵庫県神戸市出身。2019年3月にTBSを退社し、現在はドラマ出演やラジオパーソナリティー、執筆業など幅広く活躍している。週刊文春、女子SPA!などで漫画や映画のコラムを連載中。
現在、テレビ東京で放送中の不妊症の主人公を描いた大人のラブストーリー、木ドラ24「できても、できなくても」にて民放初主演を務め、話題を呼んでいる。

一穂ミチ|小説家。2022年『スモールワールズ』で吉川英治文学新人賞、2024年『光のとこにいてね』で島清恋愛文学賞、『ツミデミック』で直木賞を受賞。BL漫画の原作担当作に『オンリー・トーク』(漫画・志村貴子)等。「好書好日」にて「一穂ミチの日々漫画」を連載中。

司会・神成明音|OUR FEEL 編集長。担当作に、『オレの妹に勝てる気がしねえ』、『たぶんここから始まる恋』、『君のクイズ』、『ねんねんころころ』、『女の園の星』、『脱落令嬢の結婚』、『発達障害なわたしたち』他多数。

 

「ふつうの女の子」
蒼井まもる先生

あらすじ
ある夫婦のもとに女の子が生まれた。「アン」と名付けられた子の一生のお話。

神成
私から一作、お二人にオススメしたい作品がありまして。
蒼井まもる先生の『ふつうの女の子』という作品です。前作は『あの子の子ども』という高校生の妊娠を扱った作品を描いてらっしゃって。
スキャンダラスなテーマなんですけど、全然そういう描き方をされてなくて。
妊娠そのものや、妊娠で直面する不安をすごく丁寧に描いてくださっていて、これは高校生じゃなくても妊娠に関わる全ての人、つまりは全ての人が知っていた方がいいっていう内容だったんです。

宇垣
そうですね。

一穂
確かに。

神成
その後の作品となる『ふつうの女の子』は、主人公のアンちゃんが、生まれるところから始まるんですよね。
こちらがお父さんなんですけど、この「元気な赤ちゃんですよ」って。私、最初この話を読んだ時に、子育ての話なのかなって思って。

宇垣
うん、思いました。

神成
そうですよね。だから、もしかしたら子育てをしてない人は関係ないって思っちゃうのかなと思ってたら、全然そんなことなくって
これは親じゃなくて、本当にアンちゃんが主人公なんです。普通の家庭に生まれ落ちたアンちゃんという女の子が育っていく様子をすっごい丁寧に描いてるんです。
でも、普通に想像したら、赤ちゃんの暮らしなんか漫画にならなそうじゃないですか。

宇垣
泣いてる、寝てる、食べてる。

神成
「何が面白いねん?」ってなるような気がするんですけど、面白いんですよ。『ふつうの女の子』を読んで思うのは、他人の人生ってめっちゃ面白いんだなっていうこと。
だって、お二人とも立派な大人の女性になってここにいらっしゃるわけですけど、一番最初は赤子だったわけじゃないですか。

一穂
ははは(笑)。

宇垣
確かに。

神成
小さな赤子だったところから、こんな風に立派に育っているっていう道筋を、一人の人生の道筋を全部見せてもらってるんですよ。

一穂
なるほど、リアルドキュメンタリーですよね。

神成
それこそ大河ドラマ見てるみたいな。

宇垣
上からの視点というか。

一穂
神様の気分になっちゃう。新しいメンバーが…みたいな。

神成
アンちゃんが育っていく上で受ける機微とか、もう私、幼少期の記憶ゼロなんですけど、それを思い出させてくれるような。

宇垣
ちょっと待って、ごめんなさい。幼少期の記憶ゼロ?

神成
えっ? 幼少期の記憶ゼロじゃないですか? 皆さんあるものですか?

一穂
ある程度ありますよ。保育所とか幼稚園とか。

宇垣
いや、もちろん赤子の頃は覚えてないけど、三、四歳からは覚えてるかな。

神成
あっ、そうなんですね? 私、ほぼゼロで。

一穂
何歳からですか? 最古の記憶が。

神成
最古の記憶…? でも物心ついたの多分中学生とかだと思うので。

一穂
ちょっと待って、遅い、遅い。

宇垣
いやいやいやいや。

一穂
(『パペット・イン・ザ・シティ』を見せながら)ここにいたんじゃないですか?

神成
洗脳されていたのかもしれない!? まさかの伏線回収…!?

宇垣
よくぞお外に出てこられて。

神成
じゃあ脱出してきた後に植えられた記憶なのかもですが(笑)。
アンちゃんはまだ保育園くらいなんですけど、「そっか、親がこういう視点で私のことを見てたんだ」って。もちろん今子育て中の方は親御さんの視点で読んでも面白いと思うんですけど、アンちゃん側になれるっていうのが私は楽しいなって思ったんですよね。

一穂
ばあばがいい。ばあばが。

神成
ばあば、お母さんのお母さんがちょい厳し目なんですけども、ばあばのところに預けられて帰ってきたらね、ちょっといい子になってる。

一穂
そう、ちゃんと礼儀をしつけられている(笑)。ちゃんとばあばのいいところ、アンちゃんわかってんだなっていう描写もあるしね。

神成
そうなんですよ。いろんな大人が関わって、一人の女の子が育っていくんだなっていうところが描かれていて。

宇垣
どこまでを描くんだろう?

一穂
それ気になりますよね。何歳になるんだろうって。

宇垣
しかも、すごい丁寧じゃないですか。飛ばしていったら百歳まででも行けるだろうけど、この丁寧さでどこまで行くの? って思っています。もちろん全部見たいけど。

神成
多分、高校生あたりのところは厚めに描いてくださるんじゃないかなと。

一穂
高校生まで決まってるんですね、既に。すごいなー。

宇垣
結構先長くないですか?

神成
行けると思います!
読んでると、もうアンちゃんが自分と関係ない子じゃなくなっちゃったっていう感覚があって。もう友達の子供ぐらい近いところがある。

宇垣
友達の子供ってすごい速度で成長するじゃないですか。

神成
多分アンちゃんもそういう感じになると思います。「あれ? 赤ちゃんの時知ってるのにもう小学校入った?」という感覚になりそうだなって。

宇垣
追いがいのある…!

一穂
ふつうの子供ってこんなにもスペクタクルなんだなって。日常って劇的なんですよね、本当は。何の変哲もない人生なんてありえないわけで、っていうのを教えてくれる。微笑ましくも劇的な日常。

宇垣
大人だと見過ごしているところを、子供と一緒だとこんなことがかけがえがなかったのかってすごく感じますよね。

神成
一個一個のエピソードが全部特別だったんだっていうのを見せてくれるっていうところがありますね。本当に人間を描いているっていう感じがあるので、ぜひ皆さん追ってください、人生を。

『ふつうの女の子』1話はこちらから!
ourfeel.jp

「キスより先に誓います」
 美麻りん先生

あらすじ
悪女役ばかりで行き詰まるアラサー女優は、仕事先で出会ったメイクアップクリエイターから偽装結婚を提案される。
仕事のために契約を交わし、二人の偽新婚生活が始まる。

神成
では12月刊の美麻りん先生『キスより先に誓います』はいかがでしょうか。

宇垣
愛人顔の俳優さんが、契約結婚を持ちかけられて…という話ですね。

一穂
美しいけど不遇っていう人、現実でも結構いますもんね。

宇垣
運とか縁とかもきっとあるでしょうからね。…ただ、この二人がどうなっていくのか気になる! まだ結構序盤なのでね。

神成
そう、(撮影の時点では)まだ2話ぐらいまでしか読めていないんですが。

宇垣
偽装結婚を持ちかけてくるメイクアップアーティストのリアン、私はまだちょっと警戒しています

一穂
「大丈夫?いろんな意味で」って思いますもんね。

神成
あらっ、まだ疑っておられますか!?

宇垣
はい。「どういうつもり?」って思っています。

神成
互いに「利用してやろう」というつもりではあると思いますが、互いに沼ってしまうのではないか? っていうところが…。

宇垣
ああいうのいいですよね。互いにそんなつもりなかったのに、どんどん同志みたいになってきて、いつしか…みたいな。

神成
クッ…(悶え)

一穂
これも絵が美しくて。説得力があります、芸能界ものの。

宇垣
服装やメイクもとってもおしゃれで、それを見てるだけで楽しいみたいなところもありますね。

『キスより先に誓います』1話はこちらから!
ourfeel.jp

「スパダリやめていいですか」
 明生チナミ先生

あらすじ
仕事も容姿も完璧――なのに“スパダリ”すぎて恋が続かない営業男子・汐野。
恋愛を休むと決めた矢先、職場で出会ったのは仕事一筋の同僚・園生。
思わぬ一面に心を乱され、“スパダリ封印”を決意するが……⁉

神成
あと、12月刊はもう一作、明生チナミ先生の『スパダリやめていいですか』という作品が出ます。

宇垣
これはもうね、面白い! 可愛いよな、スパダリって。

神成
スパダリって、そもそもどうですか?

宇垣
スーパーダーリンいたらええなというじゃないですか?

一穂
そうですね。行き届きすぎたほどの男性。

宇垣
ただ、彼側の視点って考えたことなかった。よく考えたらスパダリってある種の偶像だから、そうか、その中身って考えたことなかったなと思っていて。

神成
確かに…、偶像のままだと恋愛ができないかもしれない?

一穂
降りられないですからね。ここからは減点法でしか見てもらえなくなるっていう崖っぷちなのかもしれない、実は。

宇垣
読んでみると、「なるほどそう思うだろうな、かわいそうだな」って。全員からそういう目で見られちゃうっていうしんどさがある。男性でも女性でもそういう友人がいないわけじゃないので、「ああ、言ってたな」って思い出しました。たとえば、物凄くかわいい友達はもはや最初からすごい悪い態度をとることがあると言っていて。

神成
もうそれは生きる知恵なんですね。

宇垣
そう。こういう(芸能の)お仕事をしていたら、それがハードルになったりもするじゃないですか。でも、一般のお仕事をしているその友達は逆にずっと髪の毛を染めるとか。そういうのをすごい思い出しながら読んでいました。

神成
いかつく見えるようにするってことですね。確かに、すごくおモテになる方にもめちゃくちゃ苦労があるんだよっていうことが描かれていますね…。

宇垣
だからといって、別に人に冷たくしたくないしさ。

神成
性格の良さが仇となっている…!

宇垣
そうそうそう。そのドタバタ感が可愛いですよね。これで相手の彼女が「いい男捕まえてやるぞ」みたいな人だったら、ちょっと…嫌じゃないですか?

一穂
嫌ですね。

宇垣
そうじゃないところがいいんですよね〜! 彼女は彼女で魅力的すぎて。

神成
わかります! 彼女はお仕事もできるし。

宇垣
たぶんあんまり恋とか考えずに生きてきた人だから、免疫もない。でもだからこそ、彼自身を見てくれている。なるほど、こういう人にはそこの価値観が定まっていない人の方が逆にいいのか、そっちが正解だったのかとか思いながら読んでました。

一穂
レーベルを通して、本当の自分を見せられる相手との大切な距離感っていうのが共通してるのかもしれないなと思いました。

神成
確かに…! 嬉しいです。

宇垣
でもそれって本当、本質ですよね。

一穂
本当の相手、見せれる他人っています?

宇垣
もう本当に長い付き合いの友達とかになりますね。高校時代からの友達として仲良いんですけど、そうなってくると、それ以降会う人ってその子たちを超えるわけないじゃないですか。

神成
歴史を超えられないですよね。

一穂
出会って日の浅い他人だったらどんなに得難いことかっていうのを、やっぱり歳を重ねてくるとわかるわけですよね。だからこそ憧れがあったりとか、羨ましいなって。宇垣さんがおっしゃるように、ほんと夢なんですよね。

宇垣
「運命!」みたいなね。夢なんだけど、あるかもしれないという、夢すぎないところ。そのあわいが良いです。

『スパダリやめていいですか』1話はこちらから!
ourfeel.jp

OUR FEELの編集方針

神成
本当にお二人がおっしゃってくださった通り、「どんな気持ちも、私だけのもの。」っていうレーベルを通してのキャッチコピーがやっぱり全作品に通底しているのかもなっていうのを改めて感じられてすごく嬉しかったです。

宇垣
心の揺らぎとか、願いみたいなものを肯定していますよね。

神成
「どんな気持ちも抱いていい」っていうのは、すごく勝手ながら宇垣さんにも感じております…!

宇垣
あはは(笑)。「私を型に入れるな!!」みたいな。

神成
「絶対に(型に)はめるな! 許さないぞ」という印象をとても感じておりました。

宇垣
あるかもしれません。

神成
それこそ一穂さんの小説も、「人間ってこんな怖い感情を抱くんだ」みたいなこととかも全部書いてくださってるんで。

宇垣
確かに…! それはそうです。

一穂
逆に編集者としては、OUR FEELで作品を依頼するときにはどういうお願いの仕方するんですか?

宇垣
FEEL YOUNGもそうなんですけれども、なんでこんなにトーンが合うんですか? 

神成
そう言っていただけて嬉しいです!
なんでしょうね。FEEL YOUNG編集部のスタッフがOUR FEELも作っているんですけれども、やっぱりみんな根底にフェミニズムを抱いてはいるという。

宇垣
そりゃそうかも。だから好きなのか。

神成
わー! 嬉しすぎる!

宇垣
フェミニズムってもちろん女性のためだけのものじゃないので、だからこそすごく幅広く届くものですよね。

神成
そうなんです。自分のままで肯定されるべきっていうところがやっぱり編集部のみんなの中にもあって。どんなところで生きている人にも、いろんな世界が広がっているから、その場で抱く気持ちをぜひ教えてほしいっていうふうに、OUR FEELの作品は作ってもらっているのかなと思っています。

一穂
そういう土台の上に、バラエティー豊かなラインナップで。

宇垣
そりゃ好きだろうね。

一穂
ありがたいですね。

神成
まーーー!!!!(歓喜)

一穂宇垣
(笑)。

神成
嬉しくて親戚の人みたいになってしまいましたけども。

宇垣
「大きくなって〜」みたいな(笑)。

神成
1歳を迎えたばかりのレーベルですが、お二人からたくさんご感想をお聞きできて、これからも健やかに育てていかねば! という気持ちになりました。
お二人とも、本当にありがとうございました!

 

全4回でお届けした読書会企画、お楽しみいただけたでしょうか?
こちらの記事をきっかけにOUR FEELの作品をお楽しみいただけると嬉しいです✨
OUR FEEL COMICS創刊に合わせて、
「OUR FEEL COMICS創刊フェア」も開催中!
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